大判例

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名古屋高等裁判所 昭和56年(ラ)105号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

本件抗告の趣旨は、原決定を取消すとの裁判を求めるというのであり、その理由は別紙抗告理由書に記載のとおりであるが、要するに、原裁判所の選任にかかる評価人の本件競売物件の評価額は実勢価額の約半額という低廉なものであり、右評価に基づき決定された最低売却価額も実勢価額を無視した不当なものであるから、本件売却許可決定の取消を求めるというにある。

よつて按ずるに、本件記録によると、原裁判所は、本件競売物件の最低売却価額決定に際して、昭和五六年一月二三日安間忠一不動産鑑定士に対し右物件の評価を命じ、同評価人は同年二月二日付で評価書を提出したこと、右評価書によれば、競売物件のうち土地については、近隣地域の地価水準、公示価格等と比準して、一平方メートル当たり金一二万五〇〇〇円と査定し、これに同地上の建物につき法定地上権が生ずることを考慮し、その価額を金一七八五万円と、同建物については、その再調達原価を一平方メートル当たり金九万円と査定し、経済的残存耐用年数を五年とし、定額法による減価修正を行なつてその価額を算定したうえ、右法地上権の発生に伴なう増価を考慮するなどして、その価額を金一七九二万円と、更に、右土地、建物を一括売却した場合の価額を金三九四六万円とそれぞれ評価していること、原裁判所は同年五月六日右評価に基づき本件競売物件を一括売却する場合の最低売却価額を金三九五〇万円と決定したこと、そして、原裁判所は入札期間までに数名の入札者を参加せしめ最高価買受申出人である光洋ホーム株式会社に金四三五六万円で売却許可の原決定をなしたことが認められる。しかして、評価人安間忠一作成の前記評価書によるも、右評価額が違法な評価方法によつて算定されたとは認められないから、原裁判所が右評価に基づいて最低売却価額を決定したことについてはなんら違法の点はない。

ところで、抗告人は、評価人による本件競売物件の評価額は、実勢価額の約半額という低廉なものであり、右評価に基づき決定された最低売却価額も不当に低廉なものである旨主張するが、右評価及び最低売却価額が単に低廉であるというようなことは、原則として、民事執行法一八八条が準用する同法七一条六号の売却不許可事由に該当しないだけでなく、本件競売物件のように都市計画区域内にある土地(前記評価書により認められる。)の適正評価については、地価公示法六条の規定により公示された標準地の価格(公示価格)を規準としなければならないとする同法八条の規定の趣旨及び同法の立法目的に照すと、前記のとおり評価人が公示価格等と比準して土地の価額を査定したことをもつて社会通念上不相当であるとはいえない。また、右評価額及びこれに基づき決定された最低売却価額と実勢価額との間に、抗告人主張のような社会通念上容認できない程度の不一致があることを認めるに足る具体的資料も存しない。よつて抗告人の右主張は採用できない。

そのほか一件記録を調べてみても、原決定を取消すに足りる違法はみあたらない。

(瀧川叡一 早瀬正剛 玉田勝也)

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